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目と健康シリーズ No19
ぶどう膜炎

 ぶどう膜とは、脈絡膜〈みゃくらくまく〉と毛様体〈もうようたい〉、虹彩〈こうさい〉の三つをまとめて呼ぶ総称です。これらは眼球全体を包み込むよう広がっています。なにかしらの原因でこれらの組織に炎症が起こることを「ぶどう膜炎」といいます。まずは、ぶどう膜とぶどう膜炎の特徴についてお話しします。

ぶどうに似ているぶどう膜

 ぶどう膜のうち脈絡膜は、網膜〈もうまく〉と強膜〈きょうまく〉の間にある膜状の組織のことで、眼球内部の広い範囲を覆っています。脈絡膜にはたくさんの血管があって、そこを流れる血液が網膜に酸素や栄養を送り届けています。
 毛様体は、その筋肉によって水晶体(カメラのレンズに該当)の厚さを変えてピントを合わせたり、房水〈ぼうすい〉※1を作って眼球内に栄養を供給しています。虹彩はカメラの絞りに該当し、周囲の明るさに合わせて瞳孔〈どうこう〉の大きさを調節しています。
 これらの組織は眼球全体を覆っているために形は球形で、血管やメラノサイト※2が豊富で色もぶどうの実に似ていることから、ぶどう膜と呼ばれています。

※1 房水:眼球内を流れている液体で、水晶体などに栄養を補給しています。
※2 メラノサイト:紫外線を防ぐメラニン色素を作る細胞。眼球内ではカメラの暗箱を作る役割を果たしています。ぶどう膜だけでなく、全身の皮膚や毛の色に関係しています。

眼以外の症状を伴うことが多い
 ぶどう膜の特徴の第一は、眼球のほかの部分に比べて血管が多いということです。このことは、ぶどう膜炎の特徴にも関係してきます。つまり、炎症の原因がぶどう膜そのものにある場合だけでなく、血液の流れと関係して全身のほかの臓器に起こった炎症に伴って、ぶどう膜炎が起こるということです。
 そもそも「炎症」とは、細菌の侵入などに対応してそれを排除し組織を修復するための反応のことで、血液中の白血球などの働きが深く関係しています。ですから、血管が多いぶどう膜は、非常に炎症が起こりやすい場所なのです。

炎症が眼球内に及びやすく視力に影響
 もう一つの特徴は、ぶどう膜は網膜〈もうまく〉とほぼ全面で接しているので、そこに炎症が起こると網膜に影響を与えやすいということです。網膜は、瞳孔〈どうこう〉から入った光を感知する、カメラのフィルムに該当する組織ですから、その感度が悪くなると、視力が低下して、ときには失明に至ることがあります。

病気の原因はわからないことが多い
 ぶどう膜炎の原因の約半数はベーチェット病、サルコイドーシス、原田病の三大ぶどう膜炎が占めています。これらは難病ではありますが、さまざまな検査から診断がつけば治療方針を立てることができます。
 三大ぶどう膜炎のほかにも、膠原〈こうげん〉病、関節炎、腸疾患、皮膚疾患、脳神経疾患、耳鼻科疾患、糖尿病、あるいは血液疾患や悪性腫瘍などがぶどう膜炎の原因になっていることもあります。また、血液の抗体検査や眼の中の房水〈ぼうすい〉※1を検査して、初めてウイルスや細菌、その他の病原体の感染が原因であることがわかる場合もあります。いろんな点から調べてみても、どうしても原因がわからない場合も2〜3割あります。

些細なことでも医師に伝えてください
 このように、ぶどう膜炎の診断はとても難しいので、どんな些細なことでもお話ししてください。たとえば飼っている動物の種類、生肉を食べる習慣があるか、どんな外国に行ったことがあるか、などの情報が診断に結びつくこともあります。


 ぶどう膜炎では、炎症の部位や程度、合併症によって、以下のような眼の症状が現れます。片ほうの眼だけに発病する場合と、もう一方の眼にも症状が現れる場合があります。
視力の低下 炎症によって集まった細胞や血液成分が硝子体〈しょうしたい〉※3に広がると、眼球内部が濁り、霧がかかったように見えたり、まぶしかったりして、視力が低下します。また、炎症が網膜に及んだり網膜剥離が起こった場合や、続いて起こる白内障や緑内障によっても視力が低下します。
飛蚊〈ひぶん〉症 炎症で生じた眼球内の濁りや浮遊物によって、目の前にゴミのようなものが見えます。これは一度出てしまうと、なかなか消えません。
充血 虹彩や毛様体の炎症が強いときは、白目が充血します。
鈍痛 炎症が起こると鈍い痛みを感じることがあります。また、続いて起こる眼圧異常で違和感が出ることもあります。

※3 硝子体:眼球内部の大部分を占めているゼリー状の組織で、眼球のかたちを内側から支えるとともに、眼球内部を無色透明に保つ役割をもっています。


ベーチェット病
 全身の皮膚や粘膜に発作性の炎症が繰り返し起こる慢性の病気です。原因はわかっていません。体内の異物を排除するときに集まってくる白血球が、異物はないのになぜか発作的に集まってきて炎症を起こします。
 ぶどう膜炎のほかに口内炎や外陰部の潰瘍〈かいよう〉、皮膚症状(赤い斑点のあるしこりなど)がよく現れます。ベーチェットというトルコの皮膚科医が最初に報告した病気で、地中海沿岸東部から日本にかけての昔のシルクロード沿いに患者が多くみられています。
眼の症状と経過 突然視力が低下するぶどう膜炎の発作を繰り返します。発作そのものは短期間で治ることが多いのですが、発作を繰り返すたびに眼球内の組織が傷つき、視機能が少しずつ低下し、失明に至ることがあります。ただし、治療法をいくつか選べるようになって、失明に至る頻度は低くなってきました。
治療上の注意点 繰り返す発作に可能な限り速やかに対処し、炎症を短期間で引かせることが大切です。視力低下などの異常を感じたら、すぐに受診してください。また、ふだんから薬をきちんと点眼・服用し、発作をなるべく減らすようにします。
 個人差がありますが、発病から5年間ぐらいが発作の一番ひどい時期で、10年ぐらいたつとだいぶ落ち着いてきます。発病後10年間、どれだけ視機能を低下させずに維持できるかが、予後にとって重要です。
 この病気では血管や神経、腸に炎症が起こることがあり、その場合は専門の治療が必要です。からだの不調(例えば頭痛や下痢など)はすぐに医師に伝えてください。

サルコイドーシス
 全身の至るところに肉芽腫〈にくげしゅ〉ができる、原因の不明な慢性の病気です。肉芽腫とは、細菌に侵されたり炎症などで傷ついた部分の治癒〈ちゆ〉過程でできる、正常な免疫反応ではあります。しかし、この肉芽腫そのものが炎症を引き起こしたり、消失せずに周囲の組織を線維化するので病気が発症します。ぶどう膜炎のほか、皮膚やリンパ節、肺、心臓、脳、腎臓など、さまざまな臓器・部位に影響が現れます。
眼の症状と経過 虹彩に肉芽腫を伴うぶどう膜炎を起こします。炎症が軽くなったり強くなったりしながら慢性的に続きます。飛蚊症がひどくなったり、緑内障や白内障になってしまうこともよくあります。しかし、きちんと治療していれば、失明に至ることはあまりありません。
治療上の注意点 慢性の病気なので気長に通院を続け、指示どおりに点眼や眼注(眼の周りにする注射)などを受けてください。症状に変化がないからと安心して治療を中断すると、しばしば再発を招きます。心臓や肺にできた肉芽腫の影響で、不整脈や呼吸機能の低下など、早急な治療が必要になるケースもあるので、定期的な検査が欠かせません。

原田病
 自分の全身の正常なメラノサイト(色素細胞)を標的にする自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、本来はからだに侵入する異物を排除しからだを守る免疫システムが、あやまって自分のからだの正常な組織を標的にして排除するように働いてしまう病気です。
 メラノサイトの多い部分に炎症が起こり、ぶどう膜炎と前後して、めまい・難聴・耳鳴りなどが現れたり、髄膜〈ずいまく〉炎を併発して、そのために激しい頭痛が起こったりもします。その後、皮膚の一部が白くなったり、髪の毛が抜けたり白髪になったりします。
眼の症状と経過 炎症が強いと両眼に網膜剥離が起こってきます。この病気は、発病後の早い時期にしっかり治療して慢性化させないことが、とくに大切です。治療開始が遅れると再発を繰り返し、失明に至るケースもないわけではありません。
治療上の注意点 発病直後は入院して集中的な治療を受けます。慢性化した場合は、なるべく炎症がひどくならないように、根気よく治療を続けていきます。


その他のぶどう膜炎
 リウマチなどの関節炎に伴うものや、ヘルペスなどのウイルスあるいは細菌によるぶどう膜炎などがあります。最近増加傾向がみられるのは、臓器移植後に免疫抑制薬を長期間服用している人やエイズによって免疫力が低下しているような人が、通常はほとんど感染しない弱いウイルスに感染して起こるぶどう膜炎です。自覚症状がほとんどないまま重症になることがあるので、このような人は定期検査が必要です。

発作や再発をできるだけ抑える工夫
 ぶどう膜炎は、その診断が難しく、病状を確かめながら治療法を調整する対症的な治療が中心となります。ですからポイントは、専門医を受診し的確な診断を受けて、正しい治療を続け、発作や再発をできる限り少なくすること、そして、もし発作や再発が起こったら速やかに対処し炎症がひどくならないうちに治すことです。
 発作や再発は、予期しないときに突然起こってきます。しかし、ベーチェット病の発作にある程度の周期性が認められたり、気候の変化や体調がすぐれないときなどにぶどう膜炎がひどくなる傾向があります。ふだんから生活リズムを崩さず体調維持を心掛けるようにしましょう。また、例えば軽いかぜのような症状を感じたときなどは、早めに受診してください。

忘れてはいけない合併症対策

 ぶどう膜炎には白内障や緑内障、網膜剥離などの合併症が高い頻度で起こります。合併症によって視機能が低下してしまうケースもあるので、その早期治療が大切です。
 ぶどう膜炎に伴う合併症は従来、手術で治そうとするとかえって炎症を強めてしまう恐れがあるため、積極的な治療はあまり行われてきませんでした。しかし最近は、専門医による手術を適切な時期に受ければ、炎症を強めずに治療できるようになってきています。それによって視力が回復したり、視野異常の進行を最小限に抑えることができます。

通院を欠かさないことの大切さ
 症状が落ち着いてくると、つい安心して薬の点眼・服用がいい加減になったり、通院を怠りがちになります。しかし、ぶどう膜炎は次のような理由から、定期的に受診することが非常に大切な病気です。
炎症の起きやすさの把握 一見症状が治まっているようにみえても、からだの中では炎症を起こしやすくなっていたり、免疫システムに異常が起こっていることがあります。血液検査などでそれが確かめられれば、発作・再発の予防的な治療ができます。
合併症の早期発見 視力や視野を奪う緑内障や網膜剥離などは、かなり進行するまで自覚症状がないことがあります。その発見・治療のために通院が欠かせません。
薬の調節 ぶどう膜炎の治療薬のなかには、注意が必要な副作用をもつ薬もあります。副作用を抑えて同時に高い治療効果を得るために、検査結果をみながら薬の量を少しずつ調整する必要があります。
全身状態の把握 ぶどう膜炎では眼以外にもさまざまな症状が現れ、早急な治療が必要な場合もあります。専門医は患者さんの眼だけでなく、からだの異常にも気を配りながら診察しています。

薬について詳しくなろう

虹彩炎のために4カ所で水晶体と虹彩の癒着が生じ、散瞳薬を点眼しても広がらずに、瞳孔が花びらのようなかたちになっています。
 症状が全身に及ぶことが多いぶどう膜炎には、点眼薬だけでなく内服薬が処方されることが少なくありません。長期間服用することが多いですから、患者さん自身も薬のことをよく知っておいてください。
ステロイド薬 副腎皮質〈ふくじんひしつ〉で作られるホルモンで、炎症を抑える強い作用があります。炎症の部位や程度によって、点眼、内服、注射、または手術で眼球内に埋め込むタイプなどを使い分けます。急に中止したり指示どおりに使用しないと、副作用が強く現れたり炎症がかえってひどくなったりします。
散瞳〈さんどう〉薬 瞳孔を広げることで虹彩の安静を保つ薬です。虹彩に炎症があるときに、虹彩と水晶体が癒着〈ゆちゃく〉してしまうのを防ぐためにも点眼します。
コルヒチン 白血球の動きを抑える薬で、おもにベーチェット病の発作予防・抑制に使われます。催奇形性があるので、赤ちゃんの欲しい方は服用できません。
免疫抑制薬 病状によっては免疫力を抑える薬を使用し治療します。副作用のチェックのため、月1回の血液検査が必要です。

ときには病状を考えて、生活の設計を
 ぶどう膜炎のいくつかは完治が難しく、いかに視機能の低下を防ぐかに治療の主目的がおかれています。適切に治療していても、失明が避けられないこともあります。ですから病状をきちんと把握し、必要であれば将来の生活設計を考えてみることも大切です。一例をあげれば、音声ワープロや点字などは、視力がまったくなくなってから習い始めるより、少し見える時期に始めたほうが、ずっと容易に覚えられます。
 もちろん、たとえ光を失っても人生の幸せがふんだんにあることは、改めていうまでもないことです。例えばご自身の失明をきっかけに障害者支援施設で働き始め、新たな生きがいを見つけ充実した日々を送られている患者さんがいます。
 肝心の治療についても、新薬の開発、合併症に対するより積極的な手術治療といった、明るい話題があります。病気と向き合い、しっかり治療を続けていってください。

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